大正から戦後にかけて駆け抜けた伝説の雑誌『新青年』のことを皆さまはご存じでしょうか。現在では日本に探偵小説を紹介した先駆けの雑誌として知られていますが、決して探偵小説のみが掲載されていたわけではありません。ファッションや映画、音楽にスポーツ、その他当時の若者が欲していた流行情報が一堂に会する娯楽総合誌だったのです。
その中でもひときわ流行の最前線を追っていたと言えるコーナーが「ばにちい・ふえいあ」(開始翌年より「ヴォガンヴォグ」に改称)でした。当時のファッション指南はもちろんのこと、さまざまなトピックでシイク・ボーイ、シイクガールの養成を目指す意欲的なコーナーだったのです。
この「モダン紳士淑女讀本」ではその「ばにちい・ふえいあ」欄を中心に『新青年』の誌面をご紹介することで、当時のモダンな青年紳士淑女が追い求めた最尖端の文化の一端を味わっていただければと思います。
モダン紳士淑女讀本 〜『新青年』と「ばにちい・ふえいあ」〜 目次
- 雑誌『新青年』について/「ばにちい・ふえいあ」「ヴォガンヴォグ」欄について/中村進治郎について
- 昭和三年のモダンなよみもの
- 「ばにちい・ふえいあ」欄記事紹介その1
動き出した「ばにちい・ふえいあ」/「シック」の時代/
米国の『ヴォーグ』にみる「シック」/
「モダンガール」は過去のもの/新居格「モダンよりシークへ」/
流行語としての「シック」/シック・ボーイ入門
シック・ガール入門/「ばにちい・ふえいあ」という言葉/
流行のサイクル/長くなるスカートの丈/
考現学的視点から見るスカートの丈/海外雑誌でのスカートの丈/
断髪の変化/近代的な着物の柄 - 『新青年』の宣伝広告
- 「ばにちい・ふえいあ」欄記事紹介その2
海水着のモード/海水着への抵抗感/男性の海水着
「ばにちい・ふえいあ」的ダンディズム/洋装男子のマストアイテム
カラー/ネクタイ/ガーター/コンパクト/マスカラ/ネイル
男性の化粧/番外編:「阿呆宮」に寄せられた読者の悩み - 日本の「コニイ・アイランド」計画の謎を追う
- 小説「二つの影」