折りたたみ自転車を買いました〜買いたくなってから到着まで
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
新型コロナの影響でなかなか外出できない中、運動不足解消の意味もあり、近所の散歩が日課となっていました。毎日歩いているうちに、「どんなに短い区間でもいいので、今まで歩いたことのない道を歩く」というささやかなルールを勝手に守るように。人から強いられたら馬鹿らしくなりすぐにやめてしまうのでしょうが、自分で決めたことは意外と長続きするものです。ただ、そのルールを守った結果、近場の道はほとんど歩き尽くしてしまい、新しい道に出会うためには、結構遠くまで歩かないといけなくなってしまいました。1回の散歩にかかる時間が増えていきます。
そこで自然と「公共交通機関を使わずにさらに遠くまで行きたいな」という欲が出てきたため、自転車を買うことにしました。
話は変わりますが、実は依鳩は割と最近まで自転車に乗れませんでした。そんな人がいるのかと思われそうですが、そうなってしまったのは実家の周囲が坂だらけだからです。『夏色』や『栄光の架け橋』などで有名な「ゆず」の出身地が実家から割と近所なのですが、その『夏色』の有名な一節をご存じでしょうか。
この長い長い下り坂を
ゆず『夏色』より
君を自転車の後ろに乗せて
ブレーキいっぱい握りしめて
ゆっくりゆっくり下ってく
ブレーキいっぱい握りしめても止まれない坂ってまずいですよね、というかまずいのは整備不良の自転車の方でしょうか(笑)。
ということで我が実家のある横浜市南部は坂だらけ、丘だらけです。実家を出るといきなり坂で、しかも100mで10mほど昇る急坂です。いわゆる10%の勾配ですね。貧弱なママチャリでは下りはブレーキ握りしめても止まらないし、帰りは登れない。そのため、ほぼ自転車という乗り物は視界に入らない人生を送っていました。
そんな依鳩が初めて自転車を購入したのは25歳の時でした。当時は都内にある当時勤めていた会社の近くで一人暮らしをしており、坂が(実家の周囲に比べて)少ないこの環境なら自転車に乗れると楽しいのでは、と思ったのです。そこで近くの自転車店で、AL-FDB140という自転車を買いました。その時点ではまだ自転車に乗れないにも関わらず。
AL-FDB140は14インチという小さなタイヤがついた折りたたみ自転車で、タイヤが小さい分車体も軽い自転車でした。いわゆるルック車と呼ばれる類の自転車で、車体にはなぜかイタリアの自動車メーカーFiatのマークが。あまり評判はよくないルック車ですが、お財布には優しかった記憶があります。これなら輪行袋に入れて電車にも乗っけられるだろうし、いろいろ遊べそうだな、と妄想を広げながら、漕げない自転車を家まで転がしてその日は帰りました(笑)。
せっかく買ったので、乗れるようにならないと仕方ありません。坂を下りながら漕がずにバランスを保つ練習が自転車の平衡感覚を掴むのにかなり役立ちました。1週間ほど練習したでしょうか、25歳にしてめでたく自転車に乗れるようになりました。ぱちぱち。
乗れるようになってからは、しばらくサイクリングを楽しみました。山手線に沿って一周まわってみたり、浦和の方まで足を伸ばしたり。しかしそのうちスポークが折れてしまったり、パンクしたりということが続き、結局実家に戻る前後にその自転車は処分してしまいました。修理に関して信頼できる自転車屋を知らなかったということもありましたが、今考えるともったいないことをしたなあと思います。
さて、それから数年たち、自転車に再び乗りたくなった依鳩は依然実家暮らしです。つまり、今の生活環境は坂に囲まれている、ということです。横浜は丘だらけなのです。家から道に出るまでは、数段ですが階段もあります。重い、または大きい自転車だと、家を出るのが億劫になってしまいそうです。
また、前回自転車に乗ってから2、3年ブランクがあるので、前使っていたAL-FDB140と近いスペックの小径車なら感覚を思い出しやすいかもしれないと考えました。
そして数年前の記憶が蘇ります。結局前の自転車ではほとんど輪行はやりませんでしたが、せっかくなら新型コロナが終息した暁には今度こそ18きっぷ旅行で行き着いた先(北海道とか)で自転車を乗り回したいな、などと妄想が広がるのです。
さらに今度はしっかりと信頼できるメーカーで、ちゃんとメンテナンスしながら長く乗れるものを買おうとも思っていました。
好き勝手に要望を並べ立てましたが……これらを満たしてくれる自転車はあるのか、いろいろ調べた結果、DahonというメーカーのK3という機種が良さそうだということがわかってきました。
・AL-FDB140と同じく14インチのタイヤ
・メーカー公表値で7.8kg(ペダル除く)と、折りたたみ自転車としてはかなり軽量
・これだけ小さいのに、ワイドな外装3段ギアがついている
→平地から多少の坂までカバーできる
・折りたたむとかなり小さくなるので、輪行もやりやすい
・折りたたみ自転車の専門メーカーとして定評のあるDahonの機種
と、自分の勝手な望みをかなり満たしてくれそうです。
実はDahonには「Dove Plus」という14インチでより軽量(何とペダルなしで7kg未満)、そして何より素晴らしい名を冠した機種があります。もし購入したら、「ドバト號」などと名付けたいところです。もちろんこの機種とどちらにしようかかなり迷いましたが、残念ながら「Dove Plus」は変速がついていないシングルギアの自転車です。坂が登れないとどうしようもない環境での使用となるため、泣く泣く断念しました。さらばドバト號。
ということでK3を購入することにしたのですが、次の問題はどこで購入するかです。いくつか近くのお店も回ってみましたが、結局大阪のミニベロ・折りたたみ専門店「ベロキッチン」さんから通販で購入しました。通販で購入するというのは少しリスキーな気もしましたが、餅は餅屋、つまり折りたたみ自転車は折りたたみ自転車に強い店で買ったほうがよかろうということ、そして定価でペダル・グリップ・ブレーキのアップデートをしてもらえるということが決め手になりました。デフォルトの折りたたみ式から着脱式のペダルにアップデートすることで折りたたんだ時の出っ張りがなくなりますし、グリップはエルゴノミックデザインのものに変更されるので、より手が痺れにくくなりそうです。そしてちゃんと止まれるブレーキがついていなければ、家から出発して早々に下り坂で早速悲しい結果を迎えることになりかねません。
坂の多い地域での使用になることを伝えると、お店の方からフロントギア(クランクやギアがついている歯車)を少し小さくするカスタムを提案していただきました。もともとK3には53T(TはTooth(というかこの場合teethになりますね)の略で、歯車の歯の数を指します)という大きいギアがついているのですが、それを46Tのものに交換するという内容です。スピードは少し出づらくなりますが、その分物理的には坂は多少楽に登れるようになるはずです。二つ返事でそのカスタムをお願いし、さらにこの機種では定番の、細めのデフォルトタイヤをSCHWALBEのBig Appleという極太タイヤに変更するカスタムもお願いしました。14インチはやはり挙動が不安定な部分がありますが、極太タイヤにすることでより安定させ、さらに衝撃も少なくする効果の見込めるカスタムです。
これらはメールでのやりとりとなりましたが、返信も早く、こちらの要望にも応えていただき、気持ちよくスムーズに購入することができました。ありがとうございました!
新型コロナにより自転車は公共交通手段を使わない移動手段として脚光を浴びたようで、自転車屋さんはどこも大量の注文が入ったそうです。そんな忙しい時期に注文してしまい申し訳なかったのですが、予想よりも早く2週間ほどでオーダーした自転車が我が家に到着しました。
長くなってしまったので、この辺りで記事を分けようと思います。次の記事では実際にK3に乗ってみた感触や、本体以外で揃えたもの、そしてサイクリングの楽しみなどについて書いてみたいと思います。それではまた。