泉鏡花『外科室』を読んで感じた「共感性痛覚」

ドラマなどを観ていると、昔からどうにも感情移入しすぎるのか、主人公が恥をかく場面になると観ていられなくなり、「きゃあぁぁ」とか言いながら別室に行ったりテレビを消してしまったりするのです。耐えられない。

この現象には名前がついていて、「共感性羞恥心」などと呼ぶらしいと少し前に話題になったそうです。

https://matome.naver.jp/odai/2147206258901184101

さて、『高野聖』に続いて泉鏡花の『外科室』を読みましたが、これも読んでいて「きゃあぁぁ」と声を挙げてしまいました。と言っても共感性羞恥心とは別の理由ですが……。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000050/card360.html

ネタバレになりますが(白字にしておきます)、麻酔なしで胸を掻っ捌く描写がこれほどキツイとは。ただ、このキツさはどこか共感性羞恥心と似ている要素もあった気がします。「共感性痛覚」とでもいいますか。外科的な痛さはもちろん、心理的な痛さも含まれた共感です。医学士の高峰が麻酔なしで貴船伯爵夫人にメスを入れたのは、もうその時点で夫人が誰なのかも、麻酔を拒否する理由もすべて見通していたのではないかと感じられます。

話は全然違いますが、このグロさ、ぜひとも丸尾末広さんにこの情景の一枚絵を描いてもらいたいな、と思いましたw

http://www.maruojigoku.com/

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